凪いだ青を待ってる
そして10月。
肌寒くなったけれど、部員たちの熱気は日々増しているとさえ思った。
春高予選は11月の中頃だ。
いよいよ今まで以上に気を引き締めていかなければならないとなった時、
――…青葉先輩が、約束通りバレー部に戻って来た。
選手として、バレーボールという競技を行うことはまだ許可できない。けれど、ボール出しや手伝いなど無理のない範囲ならと、進藤先生が言ってくれたそうだ。
青葉先輩のお母さまからメッセージをもらったその日、わたしはお父さんとリビングで話をしていたのだけれど、ふたりそろって泣いてしまった。
その翌日から確かな立花の青が帰って来た。みんなが喜び、気合いを入れ、ただでさえ良かった雰囲気がさらに良いものになっていった。
理央先輩は“青葉が帰って来たのに俺が練習引っ張るの?勘弁してよ”と言って、結局青葉先輩がキャプテンとして掛け声や練習を引っ張る。待ちわびた日々が戻ってきた。
選手としても、一歩離れた場所からのサポート役としても、彼の眼と才能はずば抜けているものだと改めて実感させられた。
梁井くんはマンツーマンで指導を受け、イズは変幻自在なサーブのさらなる強化、朝陽と大和はスパイクのコースをもっと鋭い切り口から狙えるように。すべてを全力で教えてくれる青葉先輩に、彼らも全力で応えていた。
きっと、絶対、このメンバーなら。
全員で前を向いて、上を目指して、ひたすらに駆け抜けた。