凪いだ青を待ってる



「俺はいつも、部員に怪我には気を付けるように言っている。…うんざりしている者もいるだろう」

「…そんなこと…!」

「それはな、一番の願いでもある。…立花に居る今も巣立った後も、いつでも道が開けるように」

「っ…」

「…怪我はな、大好きなことを、ひとを、ものを。簡単に嫌いにさせる」



…黒を噛みしめるような、一筋の光さえも惜しむような、そんな声色だった。


誰よりも部員のことを想ってくれている。それはよく分かっている。

だからこそ、気を付けてほしい。そんな切なる願いだと思った。



「そんな中でもあゆみちゃんは、大好きなテニスに関わることを選んでマネージャーとして歩き出したんだろう。立派だな」

「そうね。本当にそうね…っ!」

「ちさき。またいつか、会えるといいな」

「っ…うん!」



青葉先輩たちみんなが一人も欠けることなくボールを追えるように

これからも全力でサポートしていこう。そう誓った夜だった。

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