凪いだ青を待ってる



少し焼けた健康的な肌色の右膝と

――…目を覆いたくなるほどの、赤黒さと紫が混じった色の左膝。



「藤枝、お母さん来たから」

「すいません…っ」

「いいんだよっ。悠誠、そっち側支えてくれるか」

「はい。青葉さん肩掴みますね」

「ごめんな悠誠…っ」

「これくらいで謝んないでくださいよ、青葉さんすぐ戻ってくるんだから」

「悠誠の言う通りっすよ青葉さん!」

「…っ、おう…!」



すぐ戻ってくる。

…悠誠の言葉に朝陽が賛同して、全員がうなずく。

青葉先輩自身も笑顔をつくりながらうなずいていた。



「…っ…ちさき…、」

「せん、ぱい」

「ごめん…っ」

「っ、何も心配しないでください、待ってますからっ!」



――…だからわたしも、精一杯の笑顔をつくったのだけど

歯と歯がぶつかり合う音が聞こえるくらいには口元は震え、涙は溢れて止まらず、うまく笑えていたのかも分からなかった。



ただ、分かったのは


青葉先輩が、立花の唯一無二のキャプテンが、怪我をしたということ。それだけだった――…。

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