口さけ女と陰陽師
約束
その次の日飯島は失恋した傷がまだいえていなかった。

失恋したと認めたくない気持ちもあるのかやはり目はずっとくち子を追った。

誠「飯島ぁ。どうした?そんな未練たっぷりな目でくち子を見て。まさか…振られたのか?」
誠は半分冗談げに言った

誠「心配すんなって!飯島にはきっといいやつがいるからさぁ!」

誠の言葉が聞こえていないのか、光の灯っていない目でくち子をだまって見続ける飯島

そんな飯島を見て本当に振られたのだと思った誠はそっと手に持っていた水を飯島にかけた。

飯島「冷たっ!何すんだよ!」

誠「ははっ悔しかったらこっちまでこいよ!」

飯島「何をー!こら!まて!誠!」

そんな姿を見た回りからは楽しそうにじゃれあう兄弟のようだった。

飯島も少し元気が出たようだ。

ついに誠を捕まえた飯島は誠の頭をグリグリしている。

そこに

くち子「…飯島君。」

飯島達が振り向くといつの間にかくち子が側にいた。

くち子「ちょっといいかな、二人だけで話したいんだけど。」

飯島「えっ…。」

回りがひゅひゅーとチャカス中飯島はポカーンとしている。

確かに昨日口で直接振られたわけではない。でも陰陽師だと知られたからにはもう話しかけられることも話しかけることもない。そう思っていた。

まだ飯島がポカーンとしていると、誠が背中を叩き、

誠「いってこいよ!飯島!」

飯島「え、あ、お、おぅ…。」

飯島はくち子についていった。
その間考えを巡らした。

これはもしかしたら陰陽師だとしったから消されるのではないか。そこに落ちついた。そしてもしもそうなら少しも抗わないようにしようとも考えた。

体育館裏につくとくち子は立ち止まった。
そして後ろを向いたまま話し出した

くち子「昨日のことなんだけど、」

飯島はやっぱりと思って覚悟を静かに決めた

くち子「…ありがとう。」

飯島は驚いて目を見開いた。今まで何度か妖怪を助けたことはあったが、陰陽師としるないなや礼も言わず襲われていた為、すごく新鮮だったからだ。

飯島「ありがとうだなんて、俺はお前に、、、陰陽師だと隠してた。最後はお前の為じゃなくて自分のためにあいつをおっぱらってた!だから俺は…」

礼なんて言われる価値はないんだ。そういおうとしたが止めた。
何故ならくち子がこちらを見て泣いていたからだ。

飯島「ご、ごめっ泣かせるつもりじゃ…」

飯島がそういうと、くち子は首を降った

くち子「違うの…。助けてくれた時すぐお礼言わなかったし、黙ってさったから怒ってるって思ってたから…そんなに自分を責めるほど考え込ませてたんだなぁって思うと泣けてきちゃって。。。」

飯島「…。」

くち子「ごめんね。おかしいよね…妖怪が泣くなんて。陰陽師の貴方にとって私は敵なのにね…こんな姿見たら拍子抜けっ」

くち子がそこまでいうと、飯島はくち子を抱き締めた

飯島「そんなことないっ!俺も最初は妖怪なんて信じてなかった。どいつもこいつも陰陽師としったら裏切るし、襲ってくるし、最低なやつらばっかだった!でもお前は…くち子は違う!俺がふさぎこんでたってしって心底後悔してくれてる!だから俺は……お前が好きなんだ!」

その時風がふいた。暖かい二人を包むような風が。

くち子「飯島君…そんなふうに私のこと…」

くち子は飯島を突き放した。

くち子「だったら尚更ごめんね。私は貴方の気持ちには答えられない。助けてくれたけどそれだけは…ごめん。」

飯島「俺が人間だからか?」

くち子「…。飯島君。赤い月夜の晩は必ず言えないにいて?陰陽師の家にいたらきっと大丈夫だから」

飯島「え?」

くち子「絶対に家からは出てはダメ。」
くち子は闇に消えながら言う。

飯島「ま、まてよ!くち子!どういう意味だよ!」

くち子「いいから出ないって約束して…」

飯島「…なんだか知らないけど、夜は大体家からでることなんてない!それと俺!お前のこと、妖怪としてじゃなくて!くち子として見てるから!」

飯島がそこまでいうとくち子は闇に完全に消えた。
飯島「くち子…。赤い月夜ってそんな月でるわけ…レッドムーンか。確かもうすぐだったよな…。」

飯島は空を見上げながらいう

飯島「少し調べてみるか…」
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