華麗なる人生に暗雲はつきもの
単純な俺
言わずもがな、その後の俺は不機嫌だった。
もう、水野の実家だろうが関係ない。
ふてくされていた。
いつもなら俺に厳しいおじさんが、その態度は何なんだ、とか言いそうなのに。
俺を憐れんでいる様子。
水野にしたって、仁くん、仁くんと、仁の横を占領。
あかりは俺のところにいて、構ってアピールをしていたが俺はそんな気力もなく、今ではおじさんたちと楽しそうに遊んでいる。
やっぱり、ムカムカして、俺は本を読むと早めに客間に下がった。
これで不貞寝はあまりに恰好悪いから、布団に寝そべり本を読む。
暇さえあれば、俺は仕事関係の本で知識を増やすように心がけている。
これも、水野との結婚のため。
それこそ、この職場を決めたのも、一人娘を手元に置いておきたいと言い出しかねないおじさんを考慮して、地元に支店があるこの会社に決めた。
同居も構わないし、婿入りも構わない。
水野と一緒になれれば。
結婚資金のため、横綱が体当たりをすれば一瞬で倒壊しかねないようなおんぼろアパートに住み、弁当を作って節約をしている。
駅からも遠く、暗闇で見たら廃墟にしか見えないアパート。
同期は、住居手当も、給料も良いのに何故そんなところに住むのかと首を傾げる。
それ以外にも何かと節約を心がける俺を、人はケチと呼ぶようになったが、何とでも言えと思う。