華麗なる人生に暗雲はつきもの
「ああ。理由知ってるのか?」
「その様子だと、バレてないと思ってるわけか?」
そこで、背筋が凍るような感覚に襲われて唾を飲みこんだ。
あの女のことがバレた?
水野を裏切って、騙し続けていたことが。
「俊、お前な……どうして浮気する?小春ちゃんしか見てないとずっと思ってた」
「………………」
「この間、小春ちゃんと仕事帰りに待ち合わせてな。その時、お前が腕を組んで美女と宝石店に入って行くの見た」
「……はぁ!?」
それは宮野のことだ。
あの女なことではない。
「小春ちゃん、それを見て顔色変えてな。小春ちゃんに飽きたわけでもないのに、やっぱり他の女にも手を付けないと気が済まないのか?あれだけ、痛い目にあったのに」
「……広也。お前な……」
もう、肩が痙攣を起こし、自分の喉から引き攣った笑い声が漏れた。
「そのままだと、失うぞ。小春ちゃんを泣かせて平気なのか?」
真面目くさった広也の説教に、俺の引き攣りも最高潮に達した瞬間。
「広也。あんた馬鹿でしょ?」
「広也君、ごめん。ちょっと、朔に同意しちゃいそう」
「……馬鹿もびっくりな大馬鹿の間違いだろ」
がくりと肩を落とし息を吐いた。
安堵と、それ以上のショックが襲いかかる。
水野が避けている理由が今の広也の話で明確になった。
「な、な、何で!朔がっ!小夜ちゃんも!」
広也の背後現れた、上原と瀬戸に驚きふためき、俺に抱きついてくる広也。
変な汗を掻かせやがって、腹いせに蹴飛ばす。