一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
「お疲れ様でした」

「お疲れ様です。気を付けて帰ってね」

定時を30分過ぎた頃、萌音はパソコンをシャットダウンして席を立った。

妊娠5ヶ月とはいえ、座っていても、急速に大きくなったお腹を庇っていると、腰への負担は尋常ではない。

順調に育っている証拠とはいえ、妊娠6ヶ月になれば、単胎妊娠の妊婦さんの10ヶ月、そう臨月のお腹の大きさになる人もいるという。

萌音は、荷物を持って立ち上がると、会社から徒歩10分未満の我が家へ向かった。

1月末の夜風は冷たい。

吹き抜けるビル風が、萌音の頬を切るように通りすぎた。

胎動を感じるようになったお腹の双子も、あまりの寒さにじっとしているようだ。

走り去る車のライトが眩しくてクラっとする。

思わず電柱に寄りかかった萌音は、ふぅっと深呼吸をして息を落ち着かせた。

昼間もだったが、最近息切れがひどい。

元々貧血ぎみだったのが、少し進行しているのかもしれないな・・・と萌音は思った。


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