皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
殿下が言っていたお風呂は、私専用のものみたいで。



規模は少し小さいけれど、白で統一されていて二つのドアから出入りができるようになっている。



「こちらが湯殿のカギです。3つしかなくて、片方は殿下が持ってらっしゃいます。あとはお掃除に使うそうです。いつも鍵はかけていて、使用する時だけ開けてくださいね」



カギが可愛い…。



ヒナから渡されたカギには、シルバーのチェーンが着いていて。



殿下も持ってるのかと、なんだか恥ずかしくなった。



自分の部屋を見て、後宮に残されたふたりのことを考えた。



リタ様とセレスティーナ様は、これからどうなるのかしら…。



殿下もきっと、あそこへは滅多なことがない限り行かなくなる。



夫に見向きもされず、子どももいない。



あのふたりは、なにを楽しみに生きて行くのだろう。



そう考えると、心が痛んだ。



私はこのまま、笑って正妃になっていいのだろうか。



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