皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
先程までなにも考えてなかったはずなのに、急に緊張する。



どんな、方なの…?



座る音がする。



緊張しすぎて、手が震える…。



「顔を上げてくれ、我が妃よ」

「は、はい…」


顔を上げると目が合った。



ニコリと微笑む口元と、金色のサラサラの髪。



見たこともないくらい麗しい男が、そこにいた。



全てにおいて洗練されているような、そんな気さえするオーラ。



とてもステキな笑顔のはずなのに、髪と違うグリーンの瞳だけが、とても冷たく感じた。



「アリス・デービスと、申します…」

「フィンリュークだ。よろしく頼む。何かあれば部屋付きのメイドに言うといい」

「はい…」

「申し訳ないが、仕事で手が離せないのだ。後日、埋め合わせをさせてくれるか?」

「いえっ、大丈夫でございます。お忙しいところ、私のためにお時間をとらせてしまい申し訳ありませんでした」

「私が会いたかったのだ。気にするな。では、失礼する」



なんだろう、優しい人だなぁ…。



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