皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
下町に行けなくなってしまうではないか。



アリスはとても下町を気に入っている。



なので、できることならばこのまましばらくはバレたくないのだ。



「パレードを却下したのです。さすがに顔くらい見せておかなければ、民は納得しませんよ」

「…………わかった。王城からでいいか?」

「えぇ、それで」



式が終わったら王城へ移動し、一番高い塔から顔を出す。



下から見れば、顔もあまり確認できないと思うし。



これは仕方のないことか…。



長い会議が終わり、次の仕事は事務的なもの。



疲れて頭が働かない…。



「これは…?」

「結婚式での料理です。味見してほしいと、アリス様が」

「…………ジェード」

「はい?」

「結婚式、しない方向で」

「…………バカですか」

「本気でめんどくせー…」

「これも仕事のうちですよ」

「まぁ、そうなんだけど…」



皇子として、仕方ないのはわかっている。



ただ、本来の仕事が進まなくなる。



しんどい。



< 223 / 480 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop