皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
殿下と私の違いは、そこに『意志』があるかどうか。



私は弱い。



弱かったのだ…。



「必要とされてみたいですね、誰かに…」

「寂しいやつだな、アリス」

「ははっ、そうですね」



お風呂から出て、魔導士の検査済のお水を口にする。



殿下は外でタバコを吸い、戻ってきてからお酒を飲んだ。



「お前を正妃にする」

「へっ⁉︎」

「話は以上。異論はないだろ?」

「ない、ですけど…」

「先に休む」



お疲れの様子の殿下は、先にベッドに入った。



眠る時は隣が基本なのだけれど…。



どうにも体が言うことを聞いてくれなくて。



ヒナが借りてきてくれた本をソファーでしばらく読んだ。



頭に入らない…。



正妃、か…。



勝ち取った気がしない。



消去法で私になっただけの話。



なんだか、私が他の2人を陥れたような気さえする…。



このまま正妃になって、私は殿下を支えることができるのだろうか…。



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