神様は私を愛しすぎです!
石畳みの道を二十分ほど歩くと、立派な瓦屋根の豪邸が現れる。その手前には赤い鳥居があり、紬はペコリとお辞儀をしてから鳥居をくぐった。

「……こんな寒いのに、こんな格好をして来いだなんて……」

早く家の中に入れてもらおう、紬はそう思いながら玄関の扉を叩く。しかし、家の中からは物音一つ聞こえない。

「えっ!?アマテラス様、いらっしゃりますか?」

伊勢神宮に祀られている神様の名前を口にし、紬は扉を叩き続ける。しかし、家の主は紬の前に姿を現さない。

「……寒い……」

紬が体を震わせてそう呟いた刹那、「じゃあ温めてあげないとね」という声とともに、紬は背後から何者かに抱きしめられる。

「ひゃっ!!」

紬を抱きしめた何者かは、紬の冷たくなった首に唇を押し付ける。さっきまで冷たく、寒さで震えていた紬は一気に温かくなっていった。

「おはよう、紬」

そう微笑むのは、豪華な金の刺繍が施された着物を着た男性だ。紬より二十センチ背が高く、美しい黒髪がサラサラと揺れている。
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