浮気な彼と恋のマジックドライビング
睨み付けた俺の視線を受けて香田が悪戯っ子のように笑った。

そして俺が黙って聞いているのをいいことに、こいつはいとも簡単に俺が八年間隠していた秘密をあっさりとなつにばらしたのだ。

「柊…」

俺の腕の中でなつが身体を固くした。

男性恐怖症のなつに触れることを俺は一瞬躊躇したが、抱き締めたこの腕を絶対に緩めたくはなかった。

腕の中のなつを離したくなかった。


「なつ。

ずいぶん時間かけたけど、俺はゆっくりなつとの将来を進めているつもりだった。

でも、肝心なこといつまでも伝えないから不安にさせて辛い決断させちゃったよな…。

ごめんな、なつ」


背後から溢れる涙を止めることのできないなつの顔を覗きこみ、その目に視線を合わせた。

「夏生、ずっと夏生のことが好きだ。

俺と結婚してほしい」
< 59 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop