気付かないで、好きになって。


ーーまずはニキビケア、ホワイトニング効果のある韓国の洗顔ジェルで顔を洗う。化粧水、乳液ももちろん同じ製品のものを。

肩につく手前程の髪の毛はクシでとき、毛量の多い髪の毛を抑えるために、まず寝癖のついた髪の毛をストレートアイロンで伸ばす。そして耳の後ろからピンを止める。もちろん、通常よりも太めのものだ。髪の毛に馴染むよう色は黒色。

化粧は禁止だけど粉のファンデーションだけは欠かせないひと手間。まつ毛はビューラーで不自然の無い具合に軽くカールする。色リップはだめ。けど透明グロスで少し色気を出す。

ーーよし。(この間10分)

朝の身支度も半眠状態でも勝手に手が動くほど日常化している。

朝はコーヒーをいっぱい…、じゃなくて1杯。
そして少しのナッツ類とドライフルーツを口に入れる。

その後は黒いマフラーを巻き、黒い手袋をつけ最寄り駅へと向かう。踵から下ろす私の歩き方スタイルではいつもローファーが階段を降りる度に低く鳴り響く。

と、軽やかな登校を目指すがなかなか叶わない。



「ーーはやくはやく、あと5分!!母さん急いで急いで!!」

「陽菜が書類にハンコしてなんか朝言うからでしょ?」

「しょうが無いじゃん。忘れてたんだもん!!!」


ーーーバタンッー

「あ、あと1分ある、間に合う!行ってきます!ありがとう母!」

階段を駆け下りる。
ローファーの音が鳴り響く。だか電車の到着の音の方がかなりでかい。


「まったまった!!乗ります乗ります!」

手前の人たちを押し込む。むしろ私がねじり込む。


ーープシューーーーッ


ドアがゆっくりと閉まる。だが3秒はその体制を維持する。またドアが開く可能性があるからだ。動き始めたら後はドアにもたれかかり、できるだけ汗をー書かないように気をつける。まぁ、どうしようもないのだが。


「いやー今日もナイス駆け込み」
隣に突っ立っているやつの顔を見ると見慣れた顔があった。

「やっぱりオリンピックでるからさ、練習しとかないとね、足つるからさ」

「いやそんな事しなくても陽菜に叶うやつなんかいないって。あれでしょ、授業中何回お腹鳴るか選手権」

「いや、それは忘れてw」


今年の四月から最寄りが同じになったクラスメイトの一条奏(イチジョウ カナメ)。

私が気をおける男友達の1人。
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