きらきら星に魅せられて
そして迎えたコンクール当日。

初めての本番に逃げ出したくなるほど緊張していた。

私の緊張を更にかきたていたのは.....

「あれが噂の...」

「あぁ幼い頃から海外でピアノを勉強していたっていう子ね」

「あの子はこないだのコンクール飛び級で優勝らしいわよ」

「今年はレベルが高いわね」

周りから聞こえてくる噂。

どんなコンクールなのかも知らされずに来た私は勝負相手のレベルの高さに驚いていた。

まだ始めて2年も経っていない上に音楽室でしか練習していない私がこんな所で戦えるわけがない。

先生はなんでこんなコンクールに私を.....?

「先生.....。私帰りたいです」

「何言ってるの。周りは周り。紗夜は紗夜よ?自分の演奏をしなさい、紗夜。それに周りが上手くてもあなたも十分上手いわよ。紗夜は才能があるんだから。自信持って」

先生の言葉でなんとか気持ちを落ち着かせる。

そうだ、自分の演奏をするんだ。

たくさん練習してきた成果を聞いてもらうために。

今は家族と先生としか話せない私が自分の気持ちをピアノを通じてたくさんの人に伝えるために。


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