きらきら星に魅せられて
ふと視線を感じて後ろを振り向いた。

そこには呆然としながら私を見る惺くん。

「菅野.....?」

「ご、ごめんなさい。勝手に弾いちゃって」

「紗夜なのか.....?」

「なんのこと?」

「その演奏.....。俺が紗夜の演奏を間違えるはずがない」

我を失い、私に突進してきた惺くん。

「ちょっと惺くん!」

「惺くん.....?」

「あ」

気が動転していた私。

口が滑ってしまった。

「俺のこと惺くんって言うやつこの世に1人しかいないんだけど」

「.....」

「紗夜なんだろ.....?」

「.....」

もう覚悟を決めるしかなかった。

メガネとウィッグを外し、素顔を晒す。

「惺くん.....。ごめんね」

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