夏樹と空の恋物語
2人目の刺客

 
 2週間後。

 6月になり梅雨の時期がやって来た。


 夏樹と空は、あの夜以降、お互いの家を行き来している。

 週末はどちらかの家に泊って過ごすことが多く、同棲生活に近い生活をしている。


 社内では気づいている人は少なくあまり騒がれることもない。

 
 空も喋ることが多くなり、いつも1人で食べていたお昼も、誰かと食べることが多くなった。


 
 そんなある日だった。


 朝から社内が騒然としていた。


 どこから送られて来たか分からないFAXが各部署へ送られていた。


 その内容には

(営業部長・佐久間力也。女子社員を死に追いやる)

 と題して、力也がかつて不倫していた女子社員を歩道橋から突き落として死亡させたと書いてあった。

 写真も一緒に乗せられていて、力也と女子社員が歩道橋の上で抱き合っている姿と、力也が女子社員を抱えている姿が写っていた。



 そのFAXは社長の忍の下にも届いていた。


 忍はFAXの内容を見て昔の事件を思い出していた。




 それは、今から13年ほど前の事だった。

 力也がまだ結婚したばかりの頃。

 営業部の女子社員が、力也の産まれたばかりの子供を殺害した事件が起こった。


 
 力也の家に押しかけてきた女子社員が、産まれたばかりの子供をナイフで殺害したのだ。


 女子社員は初めは否定していたが、何度も取り調べられてゆくうちに気力を亡くし、刑務所内で自殺した…。


 
 結局、被疑者死亡で事件は幕を閉じた。


 しかし社内では、あの女子社員が殺害を企てるとは思えないと言われていた。


 力也は子供を亡くしてショックを受け、しばらく仕事を休んでいた。

 力也の妻はショックから病院に入ってしまった。

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