鬼の目にも慕情
会場につくと、すでにスタッフが設営を終えていた。
まだがらがらだな。適当に会場内を見て回る。
ここに爆破予告ね。任務に失敗したら俺らも木っ端みじんじゃん。
死にたくないな。

そこに、護衛チームから連絡が入って、今から対象が移動するということがわかった。
ということは、対象がここにつく1時間の間に不審物、危険物が無いかを隈なく確認していかなければならない。
柿原隊長によると、そんなものがある可能性はゼロに近いらしい。
そして、ここに不審者が来るなんて可能性はもっと低い。

そんなことを言われたら、正直、モチベーションが上がらない。
でもやらない訳にはいかない。

まずは、会場の椅子の下を見て回る。約1000席を、地べたを這いずり回りながら。
この体勢、きつすぎる。
「終わったころには腰が死んでるな」
この広さ、1人で見て回れるのか?
そういえば、柿原隊長はどこ行ったんだろう?
会場内のチェックは任せるとだけ言ってどこかへ行ってしまったけど。
まさか、こんな面倒な作業はやってられないってか?
どこかでサボってんじゃないのか?
「やってらんねー…。よいしょっと」
半分くらい確認したところで、一旦伸びを挟む。
やっぱ骨がポキポキと音を鳴らしてる。
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