氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 ええい。

 やられたこと、やり返してやる。

 大胸筋から腹筋まで
 人差し指でツーッとなぞったら、

 手首を掴まれ制御された。

「……起きてんじゃん」

 それでもアイツはまぶたを開けない。

「アツいね。氷河くんのカラダ」

 掴まれた腕と反対の手のひらでアイツに触れる。

 極寒男がこんなに熱くなってる。

 おかしいの。

 唇は――こんなにも柔らかいし。

「今のキス。何回目でしょう?」
「知らね」
「……もういい」

 離れようとしたら、

「襲われてえの?」

 腰に手を回され――

「俺としては。こっちも脱がしたいんだけど」

 スカートの上から太ももを撫でられる。

「絶対にダメっ……!」

 今日が

「そっちは。ダメだから」

 あの日じゃなかったら

 このひとのすべてを受け入れていたかも――なんて考えてしまうのは間違いなく相手がコイツだから。

「セイリ。なの」

 ガッカリした?

「先に言え」
「怒った?」
「知ってたら優しく触れられたろ」

 そっと、抱き寄せられる。
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