氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
#25 虚言
#25 虚言


「あの、藍さん。まだ入部届け出せてなくて……」
「いいよ」
「すみません」
「それより。あの、ちっちゃいのは?」

 ちっちゃいの。

「真柴くんです」

 陸上トレーニングをしている選手に必死についていこうとしている真柴くん。

 スタミナの方は、そんなになさそう。

 いや、人並みにはあるのかも。

 二重とび100跳べるくらいだし。

 周りのレベルが高いんだよね、おそらくは。

 それでもギブアップしないあたり根性ある。

「マメシバ?」
「真柴くんです!」
「どこで拾ってきたの。マメシバくん」

 わざとかな。

「実は彼、ラグビー部なんですけど。辞める気みたいで」
「ふーん。身体、やわらかいね」

 当麻氷河も目をつけてたとこだ。

 でも、それって、

「身体やわらかいと有利なんですか?」

 どういう風に役立つの?

「そうだな。スケーティングに関して間違いなく教わるのは【膝を曲げろ】ってことなんだけど」
「膝?」
「うん。そうすることで、衝撃を抑えられるし。低姿勢になれば倒されにくく、力強いスケーティングができるから」
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