氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
#28 自覚
#28 自覚


 ――貰っちゃおうかな、どんな手段使っても。

 強気な台詞とは裏腹に、わたしを抱きしめる成澤が小さく震えているのがわかった。

「やっと本音が出ましたね」

 立ち上がった当麻氷河が、こっちに近づいてくる。

「セーブかけてたんですよね」
「なんでわざわざストッパー外してくるかな」
「そりゃあ、俺だってわざわざナリさん敵にまわしたくないです。でも」

 そう言って、わたしのとなりに座ると――

「認めて欲しかったんです」

 成澤をわたしからはらった。

「ついでに言うと。あなたがヤケになってるとこ見るのも嫌です」
「はは。生意気なこと言うね」
「依存するなら不特定多数の女じゃなくて俺にして下さい」
「ふーん。俺を満足させられるんだ?」

 なに、この会話。

「あなたのプライド、ズタズタにしてやります」
「速さではついて来られないクセに」
「総合的なスキルは俺が上回ってます」
「言ってくれるねえ」
「ナリさんは。俺のライバルです」
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