氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。

「え……えぇ!?」

 井上、飛んだんだけど。

 そのままソファに倒れ込んで……

「いくぞ」
「で、でも」

 ダウンしてるんだけど!?

「そのうち起きるだろ」
「ヤバいよ。こんなことして」
「問題ない」

 問題しかないと思うんだけどなあ!?

「だって……ねえ、退学にでもなったらどうするの!?」
「被害者だ。退学になんかなるか」
「わたしじゃなくて、あんたが!!」

 退学にならなくても。

「部活停止とか。……なったらどうするの?」

 あんたや、あんたの仲間に迷惑かかったら?

「昔からずっと夢中になってるものなのに……」

 文武両道の精神で、眠気と時間と戦いながらストイックに頑張ってるのに。

 あんな、いい顔して練習してるのに。

「わたしなんかのために暴力ふるわないでよ」
「殴りたいから殴った。それだけだ」

 あっけらかんとしている、当麻氷河。
< 98 / 617 >

この作品をシェア

pagetop