闇色のシンデレラ
「志勇」

「……」

「ねえ、志勇」

「……」

「こっち向いて」



参拝が終わり、本家に向かう車の中。


わたしはずっと志勇にいじわるをされていた。



「志勇……」

「浮気者」

「は?」



どうやら理叶たちを気にしたことが浮気に見えたらしい。


けど、無視はどう対応したらいいか分かんないからやめてほしい。


思わず眉間にシワ寄せして志勇を睨みつけてしまった。



「お、怒った」



すると口元に笑みをたずさえて喜ぶ志勇。もうわけが分かんない。



「だってずっと無視続けるから。だいたい浮気なんてしてなっ……」



ちょっとイラッときてしまって口走ったら、即座に片手で顔をはさまれた。


何するの、と無言で唇を尖らせてみる。



「ん、可愛い可愛い」

「もう、元旦からふざけないで!」

「はっ、怒った壱華もたまんねえな」



まったく何なのだか。


この人、正月早々頭がおかしいんじゃないの?
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