闇色のシンデレラ
「今さらだが……俺の人生には危険が付きまとう。
いつ命を奪われるか分からねえ、信頼していた奴に突然裏切られる可能性も否定できない。
常に人を疑って生きていかなきゃならねえ」

「うん」




口調を改めて壱華にそう伝えると、余計な言葉は発さず、しっかりと頷いた。




「それを踏まえた上でお前に問う」




17の娘とは思えない賢さを備えた壱華は、この問いかけにどんな答えを出すのか。


これは壱華に対する、一種の賭けでもあった。









「俺と生きる覚悟はあるか?」












単純な問いであって、同時に重要な質問。


これは俺から壱華を試した瞬間でもあった。


すると壱華は瞬きを数回した後、妖艶に口元に笑みを含ませ、こう言った。










「ないと言ったら、あなたはわたしを手放すの?」









質問を質問で返し、いたずらに微笑む壱華。



「……ククッ、それでこそ壱華だ」



『予想通りの予想外の答え』を導き出した壱華に感服する。


そして改めてこれ以上の女はいないと、壱華を強く抱きしめるのだった。
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