自動車学校殺人事件〜バカなアイツは名探偵〜
「は〜い!」

そう笑っていた美竜だったが、不意にその目が鋭く輝く。旬はその目の変化に驚き、美竜が見ている目線の先を見た。

「……ううッ!」

珠美が胸を押さえ、苦しんでいる。そして恐ろしい形相を旬たちに向けた。旬や美竜、そして他の教官たちは慌てて珠美に駆け寄る。

「伊坂さん、大丈夫ですか!?」

「救急車!救急車呼んで!!」

珠美は苦しげな表情で前を見つめている。そして、デスクに飾られたチューリップの入った花瓶を叩き落とした。花瓶は床に落ちて粉々になる。

ガクリと珠美はその場に崩れ落ちた。「伊坂さん!!」と多くの人が焦り、AEDを持って来るように言う。

「……もう手遅れです」

みんなが焦る中、冷静な目で美竜が言った。その呟きに一瞬時が止まるような感覚を旬は覚える。それを気にすることなく、美竜は珠美の口もとの匂いを嗅ぐ。

「警察を呼んでください。これは……青酸カリによる殺人事件の可能性があります」

顔を上げた後、美竜は落ち着いた声で言った。
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