明日の世界がきみの笑顔で溢れるように。
大粒の涙が、温かい雫が私の肩に落ちる。私の背中に回った腕が驚くほど震えていて、きみから堪えきれない嗚咽が洩れていた。

私はきみの背中をやさしくさすった。大丈夫だよって伝わるように、きみが昔、私を元気づけようとさすってくれたように私もさすり続けた。





『好きなだけ泣いていいよ』


きみにしてあげられることはこんなにたくさんあったのに、遠回りして、ひとりにしてごめんね。





『……さ……ゆ……っ』
『なぁに?』

『ほんとうはずっとこわかった……っ』
『うん』

『咲雪を忘れるのが一番こわかった……』
『うん』



初めて聞いたきみの本音がすとんと私の中に落ちた。ほんとうは泣きたかったのに、私が弱くて、脆くて壊れてしまいそうだったから、ずっと我慢していたのだろう。




『苦しかったねっ……ちゃんと聞いてあげられなくてごめんね……っ』
『っ……』

『つらかったね……』
< 12 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop