独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
宣戦布告

うだるような夏の暑さが嘘のように涼しくなった十月上旬の日曜日。樹さんと手を繋ぎ、ブライダルフェアに参加するために結納を交わしたホテルに向かった。

「楽しそうだね」

樹さんの仕事は忙しくなる一方で、思うように会えない日は続いている。そんななかでのデートが楽しくないわけがない。

「だって今日はおいしい料理を試食できるうえに、シェフお手製のスイーツのお土産がもらえるんですよ」

興奮気味に話す私を見て、樹さんがハハハッと声をあげて笑った。

「俺は華のウエディングドレス姿が早く見たいけどな」

今回のブライダルフェアではドレスの試着もできる。

女子の憧れであるウエディングドレスを身にまとった姿を樹さんに見てもらうのは少し照れくさいけれど、うれしい。

「あ、ありがとうございます」

「うん。楽しみだね」

「はい」

秋を感じる爽やかな空気を吸いながら、繋いでいる手にキュッと力を込めて足を進めた。

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