アンバランスな愛情
「迎えに来てやったぞ」

海堂廉人が
スーツ姿で手をあげた

「海堂?」

「初日から
警察沙汰かよ

お前は大物になれる!」

海堂が俺の肩を叩いた

仕事に遅れると
俺は連絡しておいたから
心配で
来てくれたのだろう

「俺のせいじゃない」

「知ってるよ!
さっき大河原先輩に会ったから」

「大河原先輩?」

「忘れたのかよ
大河原竜之介だよ
テニス部の先輩」

「あっ…俺、嫌われてたから
すっかり忘れてた」

海堂は俺の肩に
手をかけると
耳元で囁いた

「良い情報を一つ
あいつは谷山 桜を怨んでる」

は?
俺は海堂の顔を見る

海堂は片目を瞑ると
にこっと笑った

「詳しく知ってるわけじゃない
谷山 桜が逮捕されて
さっき大河原先輩とその女が警察に
入って行った

何かあるんじゃないか?って
ちょっと感じただけだ

調べる価値はあるのかも?」

海堂は車のキーを
俺の前にちらつかせると
歩き出した

ちょっと待て!

スミレが相談室に男といた

たぶんスミレだと思う

…なら男は大河原先輩?
どうして?

俺は
スミレが見せてくれた
脅迫状の写真を思い出した

3枚あったうちの一枚
見知らぬ男と映っていた

あれが大河原先輩

なんで
スミレは大河原先輩と接点があるんだ?
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