アンバランスな愛情

電話

「ごめんね
声が聞きたくなっちゃった」

『俺も』

携帯の中から
瑛ちゃんの声が聞こえてきた

『マコから聞いた
光汰のとこに行ってるんだろ』

「うん
ちょっと現実逃避中…

さっそく光ちゃんの彼女と
バトルしちゃった」

『本当に?』

「う~ん、元カノって
勘違いされただけ」

『あいつに恋人
いるのか?』

「え?
知ってたの?」

『いや……
マコが』

瑛ちゃんが言いにくそうに
呟いていた

「お姉ちゃん?」

『ああ
一度、内緒で光汰のアパートに
行ったらしい
そしたら可愛い彼女と一緒だったって』

そっか
お姉ちゃんも知ってるんだ

だから
荒れてたの?

平日も週末も帰らず
遊び歩いていたの?

光ちゃんを忘れるために

二人とも
馬鹿だ

「光ちゃんも
お姉ちゃんも
馬鹿ね」

『ああ』

「お互い好きなのに」

『そうだな』

私たちもね
馬鹿だよね?

いつも遠回りばかり

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