アンバランスな愛情
車が見えなくなると

俺は頭を振った

桜さんと待ち合わせをしているんだった

『今、学校を出たから』

俺はメールをしてから
歩き始めた



「瑛ちゃん!」

カフェの駐車場で
桜さんが
待っていた

「仕事で近くに来る用事が
あったから

呼び出しちゃった」

桜さんは
俺の腕に絡みついた

「どうしたの?
店内で待っていてくれればいいのに」

「うん
そうなんだけど

瑛ちゃんが急いで来るのを
見たかったんだ」

「何それ」

「キスして

ねえ、瑛ちゃん
キスしてよ」

桜さんは
俺の腕を引っ張ると

甘い声を出した

どうしたのだろう?
何で
そんなことを
言い出すのか

「キス」

「わかったよ」

目を閉じた桜さんに
俺はキスをした

「嬉しい
瑛ちゃんは優しいね

もう一回」

桜さんは
もう一度せがむ

俺は言われるまま
キスをした

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