金の乙女は笑わない
外に出るとアイリスの長くウエーブした髪が風にふわっと流される。
美しいブロンドの髪はきらきらと輝きだしエメラルド色の大きな瞳が、宝石のように輝く。
「わーー。アイリス様なんて美しい髪なんでしょう。太陽の光を浴びてより一層輝いています!」
エイミーはアイリスの光り輝く様な美しさにうっとりとしていた。
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その頃アランは書類の山に埋もれ、忙しく政務を行っていた。
ふと書類に目を通し印を押しながら、謁見の間でのアイリスを思い出す。
アイリス王女か……。
感情のない人形の様な表情をしていたな?
エイミーの報告ではいつもため息をつき、あまりしゃべらないと言っていた。
フィルタイトに来た日も、大きな部屋を用意すれば小さな部屋にしてほしいと言い、身の回りの
ことは自分で出来るからと侍女を断り、ドレスは質素な物を好む。
まったく王女らしくない。
時々エイミーと一緒にいるところを見かけろが、感情のない人形のような表情は変わらなかった。
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王女がフィルタイトにやって来て、一週間がたった頃
執務室の戸が「バンッ」っと開き、騎士団長であるラルフレッド・アローズ(ラル)は一瞬身構えたが、そこに息を切らして立っていたのがエイミーだったため、ラルは体の力を抜いた。
「エイミーどうしたんですか?そんなにあわてて」
やさしく微笑むラルの目の下にはほくろがあり、肩まで伸びたアランと同じ黒い髪を一まとめにしていた。
体型はスラリとしていて、騎士団長にはまったく見えない。
しかし剣を持たせると国一番と言われていた。