となりに座らないで!~優しいバレンタイン~
 ふぅー
 大きく深呼吸をする。まず、何からはじめるか?

 自分の今日の予定を確認する。なんとかなりそうだ……

 
 拳をぎゅっと握ると、彼女の顔が目に浮かんできた。寂しそうにベンチで、チョコの箱を広げている顔…… 
 絶対に許さない!

 そして、緊張しながら俺に向ける大きな目。そして、食ってしまいたくなるような寝顔までが、はっきりと脳裏に浮かんだ……

 その途端、がっくりと項垂れた。なんで、黙って消えちまったんだよー。俺、嫌われたんかな?
 俺と付き合ってくれるんだよな?
 会いてぇよー。


 スマホを手にし、真治に電話した。ようは、野村の妻が依頼した探偵事務所に、情報を漏らすだけだ。そして、早々に情報を妻に流してもらう。後は、タイミングを見て、こっちからけしかければいい。


 そして、渡辺商事とのアポを取った。運よく、明日話が出来そうだ。



 そして、俺は必至に仕事を終わらせ、山ノ内建設の定時に間に合うよう、車を走らせた。




 
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