世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ




明日葉にはお礼も言わないとだし。

再び口を開こうとしたところで。





「あの女、『旗本倫也は最低最悪のクソ野郎』って言ってた。
確かに倫也の顔は気持ち悪いしうんこ野郎で、言ってることは正解だけど……倫也のことを傷つけたあの女に言われたのは腹が立った」





耳元で弱々しく聞こえた声。

中学3年で俺に初めて彼女ができて、1番からかってきたのは明日葉。だけど、1番祝ってくれたのも明日葉。

普段なら絶対にくれないシュークリームやアイスを買ってきてくれたり、ファミレスで奢ってくれたり。




『おめでとー!』なんて言われながら誕生日でもないのにホールケーキなんかも一緒に食ったっけ。




俺と桜が別れた時は絶対からかわれる、そう思ったけど……あいつは無反応だった。
明日葉はやっぱり食い物にしか興味なさそうだもんな、とかその時は思ってたけど、今思えばそうじゃなくて。




それは明日葉なりに気を使ってくれてたんだと思う。




…バカでアホで思ったことはすぐになんでも言う明日葉のくせに。
俺に気を使って。さっきだって桜にブチ切れて。




< 705 / 839 >

この作品をシェア

pagetop