道。_君がくれた道しるべ_ ~Blue Berry短編集~

海斗×近くて遠い彼女        ③


渡辺 Side

近くて遠い彼女だった。

○○「かいと、おはよう!」
海斗「おはよう。元気だね」

出かけるのはまだこれからだというのに、待ち合わせ場所から既に旅行先にいるかのようなテンションの○○。
その耳に飾り気がないのが気になって、思わず口を開いた。

海斗「イヤリング、まだ見つかってないんだね」
○○「そうなの。どこに落としちゃったんだろう」
海斗「似合ってたのに、あれ」
○○「そんなこと言ってくれるの、かいとだけだよ」

数日前に片方をなくしたと言っていたイヤリング。
今は両耳ともついていなくて、聞けばもう片方は家に置いてきたらしい。

○○「浮かれすぎてまた失くしたら困るし」

と笑っていた○○。失うものがないことも手伝ってか、
彼女は旅行先でもはしゃいでいた。

○○「見て、綺麗!」


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