蘭蝶 短編集
愛美には悪いけど俺が愛美を諦めるには愛美にフラれる事ぐらいしか思いつかなかった…当たって砕けろって言うだろ?



愛美からの言葉を待つ



数分の沈黙が何十分かのように長く感じた



「伶、くん」



『……っ、ん?』



これから愛美から発せられる言葉を聞きたくない衝動に駆られる



必死に泣かないようにでも愛美の言葉を一語一句聞き逃さないように耳を澄ました



「……その言葉…、信じていいの…?」



こてんと涙目で首を傾げた愛美に



『……信じて…』



懇願するように、言葉を紡いでしまった。



俺、馬鹿だ。きっと愛美にフラれても絶対あきらめられねぇよ…。



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