蘭蝶 短編集
同じ言葉なんか、幾度も言われてきたのに、だ。



「後日お礼させて下さい。これ、私の電話番号です。」



さらさらっと紙にボールペンを走らせて綺麗な文字で電話番号を書いた愛美。書き終えると俺に渡した。



『お礼、今決めていいか?』



「え?あ…いいですけど…高いものは買えませんよ…?」



バツの悪そうな顔をして言う愛美



高いもんなんかいらねぇよ。



『…今週の土曜、ここで10時。俺とデートして』



「え…!?で、デート?!」



元々大きい目をより大きく見開いて驚いている愛美。そんな表情ですら可愛いと思う俺。



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