あなただけ見つめてる

「俺。1人じゃ、なにもできないけど
夕陽と涼真と一緒なら、また頑張れるから
これからもっと、夕陽を手伝えるようにもするから
戻ってきてほしい」

「・・・っうん」

「話し終わったみたいだな?」

お父さん・・・

「パッパ」

そう言って、颯に手を伸ばす涼真

「俺が、抱いても平気か?」

「平気よ」
離れてても、父親が颯だってわかるのね?


「颯。次夕陽を泣かせたら、その時は容赦しないからな」

「はい」

涼真を抱いて
私の方へ向き直った颯が、珍しく
手を差し出してきてくれたから
もう1度だけ、信じてみようと誓って
颯の手を握り返した

「帰ろう。俺たちの家に」

「はい」

< 94 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop