もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】






「ったく、いつも寝てるなぁお前は」




ようやく、のっそり体を起こした京星くんに呆れ顔の先生。




「ここの現代語訳してみろ」



「あー…」





京星くんは無言で数秒間黒板を見つめた後、





「わかりません」





あっさりギブアップした。



教室のあちこちからクスクスと笑いが漏れる。





「…和原、お前なぁ」




先生は深いため息をつくと、




「よっしゃ分かった。放課後職員室に来い。みっちり説教だ」



「えー」



「えーじゃない。来なかったら古賀先生に言いつけるからな」





古賀先生というのはバスケ部顧問の先生だ、たしか。しかも怖かった気がする、たぶん。





「…きったねぇ」




先生が授業に戻った後、京星くんがボソリと呟いた。




「…どんまい。まぁ。寝てる方も悪いと思うよ?」




恐る恐るそう言ってみると、京星くんはジロリと鋭い瞳を私に向けた。




「ま、そうだけど。顧問出すのはやっぱ汚くね?あ、いつも起こしてくれてサンキューな」



「……いえいえ」





あ。やばい。今ちょっと。



不貞腐れながらもちゃんとお礼を言う姿に、キュンとしてしまった。






< 137 / 537 >

この作品をシェア

pagetop