キミ観察日記
 外国人だろうか。

 長い前髪で顔の半分は隠れているが、すっと高い鼻と白い肌は日本人離れしている。

「まあ。なんでもいいけど」

 しかし彼女は流暢な日本語を話している。

 いいや、彼女……なのか?

「わたし? わたしは、こーか」
「そっちのオッサンは」
「オッ……。失礼な。僕はまだ14だぞ」
「オッサン」
「はあ?」
「ヨイチだよ」

 少女がヨイチを紹介する。

「ヘンな名前だな」
「そういうお前には。さぞ立派な名があるんだろうな?」
「教えてやらない」

 クソガキめ、と与一は心の中で舌打ちした。

「おねえちゃん?」
「オレは男だ」

 少年は、トースターから香ばしく焼けた食パンを取り出すとそれにバターを塗った。

「おいしそう!」

 少女が少年のとなりに立つ。

「いいにおいがする!」
「……喰いたいのか」
「うん」
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