キミ観察日記
 少女がこの家にきて、一週間がすぎた。

「久々に見たな、快晴」
「カイセイ?」
「このところ、じめじめした日が続いていたろ。梅雨再来かよってほどに」

 少女の部屋の窓には白のブラインドがあり、外の景色を見るのには視界が遮られてしまう。

 それでも隙間から光は差し込んできた。

「まあ、ここに関しては気温28℃、湿度50%前後に常に保たれてるから快適この上なく。天気なんて気にならないか」
「ヨイチ」
「ん?」
「カンジおしえて」

 少女は、この一週間、与一から読み書きを教わっていた。
 呑み込みは悪くなく、進んで学ぼうとする姿勢もあり平仮名と片仮名は既に習得済みだ。

「いいぞ。最初は漢数字からでいいよな……?」

 縦長の漢字ドリルを開く、与一。

「大、小、山あたりもすぐに覚えられるだろう」
「ダイ、ショウ、ヤマ……」
「大きい。小さい。わかるだろ?」

 身ぶり手振りジェスチャーで教える与一。

「うん」
「山は。街よりも高く盛り上がった地形だ。木がたくさん繁っていたり、噴火したり……知らないのか?」
「わからない」
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