敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
「いきなり好きでもない男と一緒に生活するのは、もちろん抵抗があると承知していますが、今は私を頼ってください。助けを求めて電話してきたように」


……確かに、私が今頼りにできるのは専務だけだし、彼がここまで言ってくれているのだから、甘えてもいいんじゃないだろうか。緊急事態なのだ、ためらっている場合じゃない。

迷いが吹っ切れた私は、姿勢を正して彼に頭を下げる。


「専務……なにからなにまで、ありがとうございます。ふつつか者ですが、よろしくお願いします」

「結婚の挨拶ですか」


おかしそうにツッコむ彼を見て、ようやく肩の力が抜け、私も自然に笑うことができた。

それと同時に、今しがたの専務の言葉になんだか違和感のようなものを覚え、ふと考え込む。


『いきなり好きでもない男と一緒に生活するのは、もちろん抵抗があると承知していますが』


引っかかるのはこの部分だ。私にとって専務は、決して〝好きでもない男〟ではないから。

好きじゃなければ、きっと抱きしめられても心地よくは感じないし、可愛いと思ってもらわなくても平気だし、一緒にいてドキドキもしない。

……ああ、そうだったんだ。つまり私は、専務のことが──。
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