秘蜜な溺愛、番外編。
高校1年、本気の恋をした。
高校2年、本気で振られた。
――…高校2年の秋、それを未だに引きずっている。
「奏もいい恋しなよーって言いたいけど、…しばらくは菜穂ちゃん離れ出来なさそうだな。優良物件なのに」
「………うるせぇ」
「ははっ!…まぁ、その一途さこそ奏だよ」
「ヨミさんも早く姫里とくっついてくださいよ」
「…蓮から吹っ切れて間もないからね。こういうのは時間をかけてさ」
「そうやって余裕そうにしてて振られたのが俺、拗れかけたのが日向なんすけど」
「……わ、分かってるよ…」
…そう遠くないうち、ヨミさんも姫里とくっつくだろう。姫里は最近口を開けばヨミくんがと言っているし、ヨミさんの姫里に対する好意も結構露骨だ。
幼なじみがそれぞれカップルになるって、凄いことなのかもしれない。ぼんやりと思った。
(…それに比べて俺は…。)