触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




「初めて言われたの?」




「え?えっと………うん」




「ふーん、なるほどねぇ」




「いや、でも俺は期待しない!きっとその場のノリで言っちゃったようなもんだ!」




「随分後ろ向きだね?大好きなくせに」




「バカ、大きい声で言うなよ」




「でも私の行動次第で2人の関係、大きく変わるかもよ?」




「は?ないない……」




今までもずっとそうだったんだ。
万が一、俺が誰かと付き合ったとしても弟として接してくると思うよ?




「じゃあ、賭ける?」




「え?何を!?」




「奈那先輩がヒロくんを好きだとしたら勝ち目ないし諦める………でもヒロくんの言った通りなら今度はヒロくんが歩きだしてよ」




「え……?」




「その時はちゃんと正式に私と付き合って?」




「そんな……」




「一歩踏み出さなきゃ何も変わらないよ?受け身の男なんてマジいらないから」




正直そこまで考えられない。
昔も今も頭の中は奈那のことでいっぱいだ。
奈那を中心に生きてきたからフラれるとか玉砕とか実際にあったら俺はどうなるんだろう?




生きて……いけるだろうか?




「あ〜もう!だから奈那先輩にヒロくんに対して気持ちがないってわかった時点でゲームオーバーだからね?いっぱい慰めてあげるから、ゆっくり私に向き合えばいいよって言ってんの!」




ゲーム………オーバーか。
そうだな。
いつかは本気で終わらせなきゃならないんだよな。
うーん………それはいつ?
俺が言わなきゃ一生来ない?




それなら一生言わない。




気持ち誤魔化して自分に嘘ついてでも
傍に居る方を取る。




一生言わないで好きでいることを苦しいだなんて今は思わない。
一番苦しいのは奈那が離れていくこと。




俺の前から居なくなること。
















< 65 / 409 >

この作品をシェア

pagetop