触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




「私に対する義理はないの?玉砕したらしたで面倒見てあげるってまで言わせておいてあんたは何にもなしか!?」




「いや、その……有り難く思ってます」




「女に恥をかかすな、この私とラブラブ出来るんだからもっと喜びなよ」




「で、でも…!姉貴以上の人なんて居ないもん…」




「はぁ!?喧嘩売ってんの!?」




鬼の形相とはこのことだ。
ポカスカ叩かれてるのに周りはバカップル扱いしてくる。
そのうち腕を組まれて「そういうとこも好き」とか聞こえるように言っちゃうから。




どんどん噂になって学校中知れ渡ってると思う。
奈那の目の前でもお構いなしにくっついてくるから。
見て見ぬふりされるのは結構キツイ。
家でも何も聞いてこないし。




「本当俺たちのこと眼中にないみたい」




「ふーん、私的にはもうあとひと押し…ふた押しくらいかな?って…」




どのあたりでそう思えるの!?
鉄の心なの!?
ジワジワきてると思うよ〜って顔怖いから。
ポジティブだなぁ〜と感心してたら
「女の勘は当たるんだよ」って今度はドヤ顔。




「プハッ!百面相かよ」




思わず笑ってしまった。
後ろの方で奈那が居るとは知らずに桜井さんと自然に笑い合ってしまってた。
そこを見逃さない桜井さんの行動力。
人目を憚らず正面から抱きついてくるから免疫のない俺は固まる。




「え、ちょっ…!桜井さん!?」




「距離あるなぁ〜もういっそひよりちゃんって呼べば?」




「なっ…!だから女子に名前呼びは…」




「じゃあ離れないよ?呼ぶまでこうしとく〜奈那先輩にガッツリ見られてるけど」




「えっ!?どこ!?」




後ろを振り向いたら遠目で目が合って……
すぐに逸らされた。
担任の先生に呼び止められてそっちと話してる。
また見て見ぬふりされた。
学校じゃほとんど喋らないけどやっぱりキツい。







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