【短】じっとできない
「〜〜っ!もうっ!あっきーってば!」
映画が終わって外に出てから、私は瞬間湯沸し器のごとく赤くなって、あっきーに抗議した。
「いきなりなんなの!」
「いきなりじゃなきゃいいの?」
「はぁ?!」
「…奪っちゃうよって言ったじゃん。汰一にあんなに泣かされてんの見たら…奪うしかないって思うじゃんか」
「あっきー…?」
あっきーは、まだ飲み干していなかったコーヒーを一気飲みして、ゴミ箱に捨てると、真正面から私を見た。
「俺にしなよなんて言わない。けど…好きだから」
「…っ」
「今日会ってやっぱ、朱里亜は汰一が好きなんだって分かった。けど………それでも、俺…朱里亜のこと好きだから」
「でも……」
「それ以上は言わないでよ…分かってるから」
あっきーは、一瞬だけ泣きそうな顔をすると、2、3秒俯いてから私に笑い掛けた。
「やっぱ、勝ち目ねぇーじゃん、俺」
その言葉と同じタイミングで、後ろから逞しい腕が伸びてきた。