私たちの春は白
第四章 いただきます
家に帰ると、私はいつも自分の部屋に行って自由に過ごす。漫画を読んだり、スマホをいじったり、アクセサリーを作ったり。

自分の部屋にいると、とても落ち着く。ここは私の楽園だ。

「葵〜!夕飯の時間よ〜!」

お母さんが私を呼ぶ。夢の世界から現実に帰らなければならない。

「は〜い……」

私はそう返事をし、部屋を出る。ふわりといい匂いが鼻腔に入り込む。この匂いは、ハンバーグかな。

「葵ちゃん、お手手を洗ってきなさい」

まるで小さい子供に言うように、椅子に座ったおばあちゃんが言う。

「私の手は綺麗よ!学校から帰ってきたらちゃんと洗ってるし」

私はそう言って反抗し、席に座る。やっぱり、おばあちゃんに優しくするなんてできない。

お母さんとお兄ちゃんが、何か言いたげな目で私を見た。でも気にしないフリをする。

学校では孤立するのが嫌だから勉強する。でも、やっぱり私は介護なんてーーー。

嫌だ、と否定しかけておばあちゃんと目が合う。おばあちゃんはニコリと笑った。
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