私たちの春は白
「じゃあ、ノロウイルス性食中毒やo157みたいに、病原体に汚染された飲食物を口にすることで感染することは?」

「経口感染!!」

無駄に大きい声で、太陽と海斗が同時に答える。チェリーが「うるさい!!」と耳を塞いでいた。

「これが最後の問題!病原体が皮膚の傷口などから侵入して感染することを何と言いますか?ダニや昆虫に刺されて感染したり、犬などに噛まれて感染することもありますね。また、接触感染もこの感染経路もこの感染経路の一種です。性行為感染症はこれにあたります」

「はい!経皮感染です!」

結衣がそう言い、伊藤先生は感性症の病原体によっては複数の感染経路を介することもあると説明し、授業は終わった。

「すっごく授業楽しかった!!」

私は詩織たちと歩きながら言う。詩織たちも笑っていた。

「確かに、感染症に興味できたかも。いろいろ調べてみようかな」と詩織。

「人の体の中には、たくさんの微生物が住み着いてるって聞いたことがあるよ」と結衣。

「勉強するのは楽しいけど、自分が感染するのは嫌だな……」と颯。

「予防するなら手洗いと予防接種だね」とチェリー。

窓の外からふわりと漂ってくる甘い香り。キンモクセイの香りだ。

その甘い香りを胸いっぱいに吸い込み、私は教室へと向かった。
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