アーリーとエマ。
渚にて。
·釣りをするアトソン。

少年のアトソンの趣味は釣りであった。したがって温暖な海に面したここ港町サラタウンはやはり具合が良い場所といえた。

女の子、エマが食堂でケーキを食べていた。アトソンは釣りに向かう。家から出た。エマがアトソンの後から付いてくる。

「どうして、サラお嬢さまは付いてくるんです?」
「事件だからよ」
「何が、です?」二人は並び直すと、波止場に向かう。潮の香りがした。重金属やホウ素、塩化ナトリウムを含んだ海の潮が。

「そういえば、さ」とエマ。
ドレス姿だ。
「アトソンって海賊の伝説を知ってる?」
「知らないですね」エマは、海に眠るものたちを、という子守唄を歌った。

「あたしの過去には海賊がいたんじゃないかと思うの」とエマ。続ける。
「血だよ。アトソン。
血による結び付きが全てだ」エマは声を低くする。
「エマお嬢さま、どうされたんです?」とアトソン。エマはお芝居の練習を学校でしている、とアトソンに告げた。取り繕うための言い訳だったかもしれなかったが。

エマとアトソンは波止場で釣りをする。とはいえ、エマは波止場に腰を下ろし、リラックスしてアトソンや白波の海を見ているだけだったが。春先の港町ならではの暖かい熱気、これは海流なのだが、さらに午後に近づくと暖かいお日様の陽光がふたりをつつんでいた。

しばらくしてアトソンはスルメイカを釣り上げた。
「へえ、やるじゃない」と軽い口調でエマがアトソンにいった。アトソンはにこにこととした。

それからしばらく釣りが続いた。
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