お兄ちゃんが芸能人だなんて信じられません!
私は謎の対抗心を剥き出しにして、尚さんに向かって渾身の睨みをきかせる。



「何その顔、俺に上目遣いして·····何してほしいの?」

「······は?」

「ふふっ、冗談。沙那ちゃんの睨み、全然怖くないよ。」



そして、あっかんべーと私に向かって完全なる挑発行為をかますクソ問題児。



この人、私をイラッとさせる天才だわ。



あまりの怒りから事務所の前で棒立ちしていると、尚さんから更なるイラッとワードが飛び出す。



「トロトロ歩いてると置いて行っちゃうよ〜!」

「別にトロトロ歩いてません!」



そもそも足の長さが違うから、1歩踏み出せる距離に差があるだけ!



だから決してトロトロ歩いているわけじゃないから!!



「······というか、尚さん応募してもないのに入れるんですか?」

「んー、頑張るけど入れなかったらごめんね〜?」

「いや、全然。別に入らなくてもいいです。」

「沙那ちゃん冷めてる!いけず!!」

「なんとでもどうぞ。」
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