指輪物語 ーあなたの海になりたいー
「……」
ヒサ先輩は俺をじっと見つめ無言になる。
「え?」
「ううん……。去年は参加しなかったから、私自身も楽しみだったりするんだ」
「……」
去年は参加しなかった……。
優也兄ちゃんのことがあって、参加する気持ちにはなれなかったってことか……。
「今は?」
「え?」
「あ……なんでもない」
『今はもうプロムに参加できるくらい、優也兄ちゃんのこと回復してる?』
そんなふうに聞いてしまいそうになって、焦った。